木質化とは?木造化とは違うの?メリットや課題も解説
現代の建築技術では、さまざまな建築スタイルが提案されており、その中でも「木質化」というコンセプトが注目されています。
木質化とは、建物の主要構造を鉄筋コンクリートや鉄骨といった耐久性の高い材料で構築しながら、内装や外装を木材で仕上げる手法です。
現代の建築が持つ強度と安全性を保ちつつ、木の持つ自然な美しさや温かみを空間に取り入れることができます。
本記事では、木質化をするメリットや課題に焦点を当て、なぜこの建築スタイルが現代において選ばれるのかを解説します。
木質化とは?
木質化とは、建物の構造自体は鉄筋コンクリートや鉄骨で構築しつつ、内装や外装など目に見える部分を木材で仕上げる建築手法です。
建物の耐久性や強度は金属やコンクリートの構造が担保し、一方で木材を使用することで、自然な風合いや温もりを室内外の環境に取り入れることができます。
特に、視覚的に木の美しさを楽しみながら、建築物の安全性や機能性を維持する点が大きな利点とされています。
木造化との違い
一方、木造化とは、建物の主要な構造体(梁、桁、壁など)を木で構築することを指します。
木質化と木造化の主な違いは、構造体の材料の違いです。
木質化は見た目に木を利用する一方で、構造的には非木材を使用します。
対して木造化は、構造自体も木を主体に用いるため、木の特性が直接建物の性能に影響を与える形となります。
なぜ今木質化が注目されているのか
国が脱炭素社会に向けて木材利用を推進
現代社会において木質化が注目される理由は、国が脱炭素社会の実現に向けて、持続可能な資源としての木材利用を積極的に推進していることにあります。
木材は、成長過程で二酸化炭素を吸収し炭素を固定するため、使用されることで温室効果ガスの削減に寄与します。
このため、木質化は環境負荷の低減策として非常に有効とされています。
公共建築物の木材利用の促進に関する法律が制定
さらに、政府は「公共建築物の木材利用の促進に関する法律」を制定し、公共建築物において木材の使用を推進しています。
木材を使うことで建築物自体の炭素排出量を削減しつつ、林業の持続可能な循環を支援し、地域資源の活用を推進することができます。
木質化をするメリット
木質化の採用が増えている背景には、多くのメリットがあります。
リラックスや癒し効果
木材を用いた内装は、その自然な質感と温もりで、人々にリラックス効果を与えてくれます。
木のぬくもりは視覚的にも心地よく、また木の香りには心を落ち着かせる効果があることが科学的にも証明されています。
免疫力アップ・リフレッシュ効果
木の環境は健康にも良い影響を及ぼします。
特に、木の空間にいることで自律神経のバランスが整い、それが免疫力の向上につながると言われています。
また、木の空間は心をリフレッシュさせる効果もあり、疲れた心を癒すのに最適な環境をつくり出します。
室内の湿度調整
木材には自然な湿度調整機能があります。
木は湿度が高い環境では水分を吸収し、乾燥している場合は放出する性質を持っています。
木材を使用することで、室内の湿度を適度に保つことができ、結露の防止やカビの発生を抑制する効果が期待できます。
適切な湿度は、居住者の健康を守る上で非常に重要です。
企業のイメージ向上
企業がオフィスや公共スペースに木質化を取り入れることは、企業の環境意識の高さをアピールし、ポジティブなイメージを与えます。
特に環境に配慮したサステナブルなビジネスモデルを推進している企業にとって、木質化はその姿勢を具体的に示す手段となります。
また、美しい木の内装は来客に対しても好印象を与え、ビジネスの場においてもプラスの影響をもたらす可能性があります。
木質化の課題
木質化は多くのメリットを提供しますが、いくつかの課題も存在します。
特に内装制限や耐久性・耐火性の問題が挙げられます。
内装制限
建築基準法により、病院やホテルなど不特定多数が利用する建物では、壁や天井、柱、扉などの内装に対して防火材料を使用することが義務付けられています。
木材は建築基準法で防火材料として認められていないため、上記に当てはまる建築物の内装制限には気をつける必要があります。
耐久性・耐火性
木材は比較的耐久性が低く、水濡れや湿気、害虫の影響を受けやすい素材です。
これにより、メンテナンスの頻度が増え、長期的なコストが高まる可能性があります。
さらに、木材は可燃性が高いため、火災の際には燃えやすく、建築物としての安全性に問題を抱えることがあります。
このため、耐火処理などの追加的な安全対策が必要となる場合があります。
木質化で環境も健康もより良い社会へ
木質化は、現代建築において美しさと機能性を兼ね備えた建築方法です。
しかし、実際に導入する際には、コストの問題や適切なメンテナンスの必要性といった課題も考慮する必要があります。
今後、技術の進歩と共にこれらの課題が解決されることを期待しつつ、木質化がもたらす環境へのポジティブな影響を最大限に活用できるよう、積極的に取り入れていきましょう。
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