自立循環型住宅とは?メリット・デメリットを解説
近年、省エネを目的とした自立循環型住宅が注目を集めています。
そんな自立循環型住宅とはどのような住宅なのか詳しく紹介していきます。
自立循環型住宅とは
自立循環型住宅とは、住宅に差し込む太陽の光や自然風などの自然エネルギーを活用し、快適な生活を送りつつ、エネルギー消費量を抑えられる住宅のことを言います。
「一般財団法人建築環境・省エネルギー機構」では、下記の条件を満たすものと定義されています。
・立地条件と住まい方に応じて自然エネルギーを活用している
・建物や設備機器の選択により、居住性や利便性を高めている
・居住時のエネルギー消費量(CO2排出量)を2010年頃の標準的な住宅と比べて50%まで削減可能
通常の家との違い
自立循環型住宅と通常の住宅には、外観こそ違いは出ませんが、住み心地に大きな変化が現れます。
エネルギー効率
自立循環型住宅は、エネルギー効率の向上を重視しています。
太陽光発電や風力発電、地熱利用などの再生可能エネルギーを活用し、自家発電を行うことで、エネルギーの自給自足を目指します。
これに対し、通常の住宅は外部の電力網に依存していることが多く、エネルギーの効率性が低いことが一般的です。
水の利用
自立循環型住宅では、雨水の収集や浄化システムを活用し、生活用水として再利用することが一般的です。
これにより、水資源の効率的な利用が可能となります。
一方、通常の住宅は公共の水道システムに依存しているため、水の利用効率が低い場合があります。
廃棄物管理
自立循環型住宅は、廃棄物の再利用やリサイクルを積極的に行う設計がなされています。
例えば、コンポストトイレを使用して有機廃棄物を堆肥化するなどの取り組みが見られます。
これに対して、通常の住宅では廃棄物がすべて公共の廃棄物システムに依存しており、リサイクル率が低い場合があります。
建材と設計
自立循環型住宅は、自然素材や再生可能な建材を使用することが多く、建物自体の環境負荷を低減する設計がされています。
また、高断熱や高気密の設計により、エネルギー消費を最小限に抑える工夫がされています。
通常の住宅では、コストや利便性を優先するため、これらの点が十分に考慮されていないことがあります。
ライフスタイルの違い
自立循環型住宅では、住む人々が環境に配慮した生活を送ることを前提としています。
これには、エネルギー消費の削減や廃棄物の管理、水の節約などが含まれます。
通常の住宅では、こうしたライフスタイルの変革を前提としていないため、住む人々の意識に大きな違いが生じることがあります。
自立循環型住宅のメリット
自立循環型住宅は、通常の家に比べて光熱費を抑えることができます。
自立循環型住宅ではソーラーパネルによる太陽光発電を抜きにしても、建物の設計だけで2000年比で50%までエネルギー消費量を減らせることが実証されています。
もちろん太陽光発電を取り入れることも可能で、そうするとゼロエネルギー住宅も実現できます。
もう一つの自立循環型住宅のメリットは、住み心地が良い点です。
住宅の断熱性や気密性が高まることで部屋の温度差が小さくなります。
近年、家の中の急激な温度差がもたらす身体への悪影響といったヒートショックにより高齢者が命を落とすケースが増えています。
高断熱・高気密の住宅は部屋ごとの温度差が小さくなるため、ヒートショックの対策に効果があります。
自立循環型住宅のデメリット
デメリットは、通常の家に比べると初期費用が高くなることでしょう。
断熱性能や省エネ性能の高い素材を使用すれば、その分初期費用も高くなります。
ただし、自立循環型住宅は設計段階で初期費用を何年後に回収できるか試算したうえで家づくりをしますので、長い目で見ればコストを抑える事ができると考えられます。
まとめ
自立循環型住宅は、地球環境にやさしく、住む人にもメリットが多い住宅です。
建築費用は割高になったとしても、なるべく初期費用を抑えながら効果の高い省エネを実現することで、長期間住み続ければ初期費用は回収できるでしょう。