家族が集まるくつろげる空間「サンクンリビング」のメリット・デメリットを紹介
ゆったりくつろげるリビングにしたい方や、普通とは違ったおしゃれなリビングにしたい方におすすめなのが、サンクンリビング。
あまり聞きなれない言葉ですが、最近ではおしゃれな住宅に取り入れられることが増えてきました。
それでは、サンクンリビングの特徴やメリット・デメリットについて紹介します。
サンクンリビングとは?
サンクンリビングとは、部屋の床が一段掘り下げられた空間のことです。
ローリビング、ピットリビング、ダウンフロア、ダウンリビングとも呼ばれたりします。
サンクンリビングは、段差によって、空間にメリハリが出て、おしゃれな雰囲気になるのが特徴です。
サンクンリビングのメリット
サンクンリビングのメリットを紹介します。
落ち着く空間になる
サンクンリビングの最大のメリットは、床を1段下げることでくつろいだ雰囲気が演出できることです。
囲まれた場所や低い位置は、心地よく感じるという心理効果があります。
段差部分にもたれるようにして座ると、視線が低くなりリラックスした姿勢で座れます。
また、段差部分にソファの背をつけるように設置すれば、ソファに腰かけたときに囲まれたような安心感を感じることができ、視線が下がることでも落ち着く効果があります。
天井が高くなる
床を下げた分、リビングの天井が高くなるので、家が広く感じられます。
段差部分に座れる
段差部分に腰かけたり、段差部分を背もたれにして座ったりと、思い思いの姿勢でくつろぐことができます。
ソファの圧迫感が軽減される
普通のリビングにソファを置くと大きく場所を取りますが、1段低いサンクンリビングならソファを置いても圧迫感を感じにくいです。
サンクンリビングのデメリット
次に、サンクンリビングのデメリットを紹介します。
怪我のリスクがある
階段は家の中でも怪我をしやすい箇所ですが、サンクンリビングのような1段の段差は普通の階段より危険を意識しにくく注意を払いづらいので、かえって事故が起きやすくなる場合があります。
リビングは過ごす時間も長い場所なので、他の場所より危険度も上がってしまいます。
掃除が大変
段差の部分は、掃除機が行き届きにくいためほこりが溜まりやすくなります。
掃除の際は、段差を乗り越えなければいけないためお掃除ロボットを使用するのも難しいです。
床下の高さが確保できない
通常の住宅の基礎の高さが30~40cmのところ、サンクンリビングの1段下がった部分は床下の高さがほとんど取れないため、床下の換気や点検がしにくくなります。
地面との距離も近いため、シロアリの発生や湿気の影響も不安に思う方もいらっしゃると思います。
この場合は、住宅会社によく相談して導入しましょう。
長期優良物件に対応できない場合がある
長期優良物件とは、税制や住宅ローンの優遇が受けられる物件を指します。
この長期優良物件の認定基準の一つである「劣化対策」には、木造の場合「床下に点検口を設ける」「床下空間の有効高さ330mmを確保する」という基準が定められています。
そのため、床下に十分な高さが確保されていないことが多いサンクンリビングは、長期優良物件に対応できない場合があります。
床の断熱性に問題が起こる場合がある
サンクンリビングのように段差がある構造の場合は、段差の側面部分にも断熱材を入れ、断熱材が途切れる部分がないように施工する必要があります。
段差のない床に断熱材を入れる場合と比べると、工事が複雑になり断熱性が十分でない場所ができてしまうなどの問題が起こりやすくなります。
リビングダイニングの有効面積が狭くなる
段差がある分、実質使える面積は減ってしまいます。
人が上り下りする部分は空けておく必要があるので、家具などを置くスペースも段差のない普通のリビングよりは少なくなります。
費用が高い
段差のない床よりも材料や手間がかかるため、建築費用が割高になります。
建築会社が限られる
デザイン性もよく、断熱性などの性能にも配慮したサンクンリビングを作るには、技術が必要ですので、経験のある建築会社を選んだ方が良いでしょう。
サンクンリビングには心理効果が
囲まれた場所や低い場所には心を落ち着かせる心理効果があります。
サンクンリビングで過ごしてみると分かりやすいのですが、穴のように隠れられるような空間が落ち着きやすくなっています。
人は、適度に囲まれた空間、というものを心地よく感じやすいので、高い場所にいるよりも低い場所に集まりとされています。
ローマの観光スポットでもあるスペイン広場では、噴水のある広場に人が集まっていたり、大きな階段に座りながらひと休みをしたりと、リラックスできる空間になっています。
ほどよい距離感を
お互いが同じ目線にいると、距離が近くに感じてしまうため圧迫感があるような気がして落ち着かないと感じたりもします。
ですが、逆にお互いの距離が遠すぎてしまっていても、コミュニケーションが取れず不便になる可能性もあります。
サンクンリビングではフロアの全体が平らになっているのではないため、高さが違います。
そのため、段差の一番上にいる人、段差に座る人、段差の下にいる人とそれぞれの目線が居場所によって、上下に少しずつ変わってきます。
サンクンリビングの場合は、同じ空間に家族で一緒に居ながら適度な距離感を保つことができます。
サンクンリビングの間取り例
普通のリビングとは少し違うサンクンリビングの間取り例をいくつかご紹介します。
生活導線も考えたお部屋に
一段下がったサンクンリビングを取り入れることで、空間にメリハリがつきおしゃれな空間になります。
キッチンで料理をする人と、ダイニングで食事をする人、サンクンリビングでくつろぐ人。
サンクンリビングは家族で会話のしやすい距離にいながらも、それぞれが思い思い自由にで過ごすことができます。
そのため、たくさん来客が来るお宅にはくつろぎやすいお家になると思います。
また、サンクンリビングの横に階段を取り付けることで、上の階にいる人にもコミュニケーションが取りやすくなります。
サンクンリビングに家族が集まる家
サンクンリビングの上を、吹き抜けにすることで広々とした空間に仕上げられます。
また、オープン階段を設置することでさらに開放的にして、一段下がっているサンクンリビングでは、テレビやラグなどを置くことで、大人も子供もついつい寝転びたくなるような心地よい空間になるでしょう。
サンクンリビングで、ゆったりと読書をしたりテレビを見ることができるので、居心地の良いリビングには自然と家族が集まってくるのではないでしょうか。
サンクンリビングのおすすめの使い方
サンクンリビングは、日常生活において特別な空間を提供することができる魅力的な部屋です。
その特徴を活かしたおすすめの使い方を紹介します。
窓際にベンチを設け外の景色を楽しむ
サンクンリビングの窓際にベンチを設けることで、家の中から自然の景色を楽しむことができます。
窓から差し込む自然光を浴びながら、読書をしたり、カフェタイムを過ごしたりするのに最適な空間を作り出すことができます。
また、ベンチの下に収納スペースを設けることで、生活感が出る物の整理整頓も行えます。
四季を通じて変わる景色を楽しみながら、リラックスタイムを過ごせるでしょう。
段差を活かして造作ソファーを置く
サンクンリビングには段差がありますが、この段差を活かして造作ソファーを設置することで、空間の活用度を高めることが可能です。
段差部分にソファーを設けることで、自然と空間が区切られ、居心地の良いくつろぎエリアが生まれます。
このソファーに座って読書や映画鑑賞、友人とのおしゃべりの場としても活用でき、日常生活に彩りを加えることができます。
カーペットを敷いて子どもの遊び場に
サンクンリビングは、家族全員が楽しめるスペースとしても大変有効です。
床にカーペットを敷くことで、子どもたちの安全な遊び場としても利用できます。
柔らかいカーペットは、小さな子どもがいる家庭において怪我のリスクを減らすとともに、床での遊びが快適になります。
また、カラフルなカーペットや遊び道具を置くことで、子どもたちの想像力を刺激し、創造的な遊びができる環境をつくることができます。
ペットとの距離が縮まる
サンクンリビングは床に近い生活が特徴的で、ペットとの距離を一層縮めるのに最適な空間です。
サンクンリビングにすることで、床に直接座ったり横になったりすることが多く、ペットと同じ目線で過ごす時間が自然と増えます。
サンクンリビングでペットと共に過ごすことで、日々の生活に癒しと喜びが増えるでしょう。
リビングベッドを設けてお昼寝
サンクンリビングの窓際にベッドを設けることでお昼寝スペースにするのもいいでしょう。
日中の穏やかな光の中で、快適にお昼寝を楽しむことができます。
リビングベッドは見た目にもスタイリッシュで、リラックスタイムにぴったりの環境をつくります。
赤ちゃんがいるご家庭にはもちろん、日々の疲れを癒やすのに最適で、家族みんなが気軽に利用できるでしょう。
まとめ
リビングは、家族が集まる家の中でも大切な場所です。
みんながくつろげる居心地のいいリビングにしたいものです。
意外とデメリットが多めと感じた方もいらっしゃったと思いますが、デメリットを考慮したうえで、ゆったりとみんながくつろげる空間にしたいですね。