パッシブデザインとは?住宅に取り入れる時のポイント
家づくりについて調べていると、「パッシブデザイン」という言葉を見かけることがあるのではないでしょうか。
近年の家づくりにおいてパッシブデザインは重要なキーワードになっています。
そこで今回は、パッシブデザインについて解説していきます。
パッシブデザインとは
パッシブデザイン住宅とは、一定の性能基準を満たしている自然素材が持つ性能を活かした住宅のことを指します。
パッシブデザインとは、“受け身のデザイン”という意味を持ち、太陽光や風などの自然エネルギーを受動的に取り入れて、上手に利用する考え方のことです。
エアコンや照明などの機械や電力に極力頼らず、あくまで自然の力をコントロールして住環境を整え、さらに自然素材が持つ効能を生かした建築方法で建てることが、パッシブデザイン住宅の特徴です。
家を建てた後で照明や冷暖房などのランニングコストを少しでも安くしたいと考えている方や、自然エネルギーを使った安定した住環境を求めている方には、パッシブデザイン住宅がおすすめだと言えるでしょう。
活用する3つの自然エネルギー
パッシブデザインの家に活用するのは、「太陽の光・風・地熱」の自然エネルギーです。
太陽の光
家庭で使用するエネルギーに変換できる代表的な自然エネルギーが太陽の光です。
一番想像しやすいのは、太陽光パネルを設置することでしょう。
もう一つは、太陽の光を室内に取り入れることで、極力自然の明るさを利用したデザインにすることで、電気そのものを使用する機会を少なくします。
陽だまりの暖かさは、人工的な電気では作り出すことができない貴重な空間です。
ただし、夏の日差しが強すぎる時は快適ではありません。
ですが、日除けを作ることで解決する事ができます。
風
風通しの良い環境にすることで快適な家を実現できるでしょう。
風通しが良いとカビ対策にもなりますし、部屋の中の熱を循環させてくれる大切な役割を果たします。
地熱
地熱は、太陽光と同等のエネルギーを期待することができます。
太陽の光によって温められた深さ5メートルの地温は1年間ほぼ同じ温度であることを活用し、エネルギーとして室内に取り込みます。
自然素材の建築材料
パッシブデザインの家に使う自然素材を見ていきましょう。
無垢材
無垢材とは、一つの大きな木から一つの建築材料に加工した木材を指します。
無垢材は、職人さんの技に左右されやすく扱いが難しくはありますが、木目の美しさが特徴で取り入れたい素材です。
漆喰
漆喰は日本では昔から使われてきた建築材料の一つで、消石灰(水酸化カルシウム)に糊(のり)などを加えて、水で練り合わせて作られています。
漆喰の白壁は、湿気対策と乾燥対策として効果的な機能があります。
他にも、不燃性の性質により防火対策も備えています。
また、塗り方を変えることで、模様をつけられるため、オリジナルの壁を楽しむこともできます。
パッシブデザインの5つの基準
パッシブデザイン住宅として認められるには、これから紹介する5つのデザインを設計に取り入れることが条件となっています。
また、設計時にはそれぞれの項目において効果を表す具体的な数値(目標)を設定して設計を行うのが一般的です。
断熱効果
冬の暖房やエアコンの利用を抑えるために、建物の断熱性能を高めておくことが重要なポイントです。
断熱材を使用して施工するなど、建物の断熱性能を高めて保温性能を向上させる設計を取り入れます。
断熱性能の高い建物を実現することで、冬でも室温が一定に保たれて、部屋の温度差を小さくすることができます。
日射遮蔽(しゃへい)
夏の日差しの日除けとして、軒や庇(ひさし)を設計・構築します。
自然風利用
建物の中の風の流れを予測し、天窓・高窓・吹き抜けの位置や大きさを決めていき、自然風を上手に利用するのがポイントです。
昼光利用
日中の明るい時間帯に、照明をつけなくても、自然光を室内に取り込むことで快適な明るさを保つことができます。
電気を使わないことで、省エネになりますし、自然光が入る家は、全体的に明るく開放的な印象も与えてくれます。
具体的には、通常の部屋よりも窓の数を増やしたり、窓の大きさを大きくしたり、室内ドアを透明や半透明にしたり、高窓や吹き付けを設置して光を取り込める設計にしたりする設計があります。
日射熱利用暖房
日射熱利用暖房とは、日中の日差しを室内に取り入れて室内の温度を上昇させ、冬の暖房として活用することです。
太陽の光を集めやすくするために南側の窓を大きくしたり、その光を逃さない断熱材の使用や、光を蓄えておく機能を備える必要があります。
南側の窓から光を取り込みたいのに、ビルなどがあって太陽の光を集める事が難しいなど、地域や家の立地場所によって左右されます。
パッシブデザイン住宅のメリットとデメリット
パッシブデザインのメリットは、冷暖房や照明など電気の使用頻度を低くし、光熱費を抑えることができるため、省エネの効果が期待できます。
また、外気の影響を少なくすることで室内の温度差を減らし、身体的な負担を軽減できることも魅力です。
一方、デメリットとしては立地や周辺環境によっては、自然のエネルギーを上手に活用することができないことが挙げられます。
住宅にパッシブデザインを取り入れる時のポイント
パッシブデザイン住宅を建てるためには、自然素材の建築材料や断熱材など、特定の素材を使用します。
また、日差しを取り入れやすい設計にするため、吹き抜け・天窓・軒・ひさしなど、住宅にかかる費用が高くなりがちです。
光熱費を抑えることができても、初期投資の費用がかかることを覚えておきましょう。
まとめ
パッシブデザイン住宅は、自然エネルギーを活用して快適な住環境を実現する省エネ住宅です。
エアコンや照明などの電気を極力使わずに快適に過ごしたいという方におすすめの設計になっています。