環境共生住宅とは?特徴や補助金について
現代では、太陽光発電システムや高気密性住宅など、環境にやさしい住宅の建設が社会に浸透してきています。
今回は、その1つとなる環境共生住宅について紹介していきます。
様々な面から地球環境に寄り添った住まいを考えてみましょう。
環境共生住宅とは?
環境共生住宅とは、
「地球環境を保全する観点から、温暖化防止、資源・エネルギーの有効活用、生物多様性の保全などの面で充分な配慮がなされ、また周辺の自然環境と親密に美しく調和し、住み手が主体的にかかわりながら、健康で快適に生活できるよう工夫された、環境と共生するライフスタイルを実践できる住宅、およびその地域環境」のことを言います。
つまり、住みやすく、環境に配慮した住宅環境のことです。
太陽光発電システムを設置した家や高気密断熱材を使用した家、木の性質を最大限に活かした木造住宅なども環境共生住宅のひとつです。
地球温暖化や異常気象が深刻化している中で、環境を守るために温室効果ガスの排出を削減するためには、エネルギーの使い過ぎない事が大切です。
環境共生住宅の3つのテーマ
環境共生住宅は、持続可能な未来を形作るための重要な要素です。
その基盤となるテーマが、ロー・インパクト、ハイ・コンタクト、ヘルス&アメニティです。
ロー・インパクト
「ロー・インパクト」は、自然環境への影響を最小限に抑えることを意味します。
私たちの住宅は、建てるときも、住んでいるときも常に地球の限られた資源やエネルギーを消費し、最後には廃棄しています。
自然への影響を考えた建築計画を立て、建設エネルギーを削減し、省エネルギーな暮らしをし、廃棄する際もリユースやリサイクルを意識し廃棄物を削減する行いが求められます。
ハイ・コンタクト
家を建てる土地には、必ず植物や動物などの生き物がいて、自然の循環の仕組みがあり、そこで人が受け継いできた歴史や文化があります。
そうした要因を切り離し、閉鎖的な人工環境をつくるのではなく、その土地の持つ特性を理解し、共生していくことが大切です。
また、地域のコミュニティや、家族間のコミュニケーションなど、近所の人々とのつながりを育てていくこともハイ・コンタクトの住まいの課題です。
ヘルス&アメニティ
「ヘルス&アメニティ」は、健康と快適さを重視した住まいづくりを指します。
毎日の生活の基盤である住まいが、安らぎの場所であり、健康で快適な場所であるため
乳幼児から高齢者まで誰もが健康で快適な生活を送れるために、室内のバリアフリー化に加え、温熱環境や室内空気質など、目に見えない環境が与える影響にも配慮することが重要です。
環境共生住宅の特徴
地球温暖化や異常気象が深刻化している現代で、地球環境を守るべく重要視されているのが、環境共生住宅です。
家に住み続けるだけで、エネルギーを削減し、結果的に地球環境を守ることにも繋がる環境共生住宅は、国土交通省のまちづくり活性化事業といった国をあげてのプロジェクトの一環として推進されています。
環境共生住宅は、地球温暖化防止や地球資源の削減につながるだけでなく、住む人の健康を促進させること、長期的に美しい外観を保つことも環境共生住宅の定義に含まれています。
環境共生住宅の必要性
なぜ環境共生住宅が必要とされるのでしょうか?
それは現在起こっている環境問題の多くが、私たちの暮らしと密接に関係しているからです。
地球温暖化や資源の枯渇、空気汚染など多くの環境問題はすべて人々の暮らしに関わっています。
環境共生住宅のメリット
環境共生住宅は、「地球環境の保全」「周辺環境との調和」「住宅環境の健康と快適性」の3つの考え方が基本となっています。
これらは一つ一つも重要ですが、3つが調和する事が大切で、どれかが欠けても環境共生住宅と呼ぶことはできません。
どれか一つに偏るのではなく、それぞれの目的がバランスよく調和された家を、より良い環境共生住宅と呼ぶことができるのです。
そんな環境共生住宅に住むメリットを詳しく紹介していきます。
省エネで家計にやさしい
環境共生住宅の最大のメリットは省エネルギー住宅という点です。
家庭で消費される電力を抑えることで、国内のエネルギー消費を抑えることをができます。
高断熱材を使用することで、暖気や寒気を循環させて、夏は涼しく冬はあたたかく過ごしやすい家にすることが可能です。
また、リサイクル材を使用した家を建てることで、建設時のエネルギーを軽減させ、生産力を節約することができます。
さらに、自家発電システムが搭載された家も環境共生住宅として定義付けられています。
自然と調和した景観
家の敷地だけでなく、周辺の地域へ緑化活動を行い、地域全体の環境を整えることも環境共生住宅に重視される目的のひとつです。
庭に緑を増やすことで、空気が清浄化されたり気温を調整する効果も期待できます。
住む人の健康向上
環境共生住宅は、リサイクル品や環境に配慮した安全な材質で家を建てる事で、自然環境保護だけでなく、家に住む人が安心して長く住むことができます。
建築物が人体へ与える影響としてシックハウス症候群が問題視されています。
シックハウス症候群とは、建材物や殺虫剤などに含まれる化学物質が室内に充満することで、住む人に健康被害を及ぼします。
このような健康被害を及ぼさないために、健康被害を軽減させる材質で建築することや、健康被害の原因となるホルムアルデヒドを吸収する植物を室内に取り入れることが大切です。
災害に強い
災害に強い家とは、耐震強化された建物や土地のことであり、大地震が起きても耐えられる耐震性の強い家をつくること、災害時に消防車が通りやすいよう街並みを整備することが、環境共生住宅の取り組みです。
また、燃えにくい材質で家を建てることで、火災発生時に火が燃え広がることを抑える家なども、環境共生住宅のひとつです。
自治体によっては補助金が支給される
多くの自治体では、環境に優しい住宅の建設やリフォームを奨励し、それを支援するために補助金を提供しています。
これは、環境共生住宅がエコロジーの観点から地域社会に多大な利益をもたらすと認識されているからです。
補助金は、持続可能な材料の利用、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入など、多岐にわたるプロジェクトで利用することができます。
これにより、初期投資の負担が軽減され、より多くの人々が環境共生住宅を検討しやすくなります。
自治体によっては、補助金の額や支給条件が異なるため、詳細は各自治体のホームページや窓口で確認することが重要です。
低い金利で融資を受けられるケースも
住宅金融支援機構では、環境に配慮した住宅の建設やリフォームを行う際、通常よりも低い金利での融資を提供しています。
・基準金利適用住宅に対する基本融資
・環境共生住宅割り増し融資制度
・地方公共団体施策住宅特別加算制度
これも、環境共生住宅が持続可能で地球に優しいと認識されているからです。
低金利融資の利用により、長期にわたるローン返済の負担が軽くなり、環境共生住宅への投資がより手軽になります。
環境共生住宅のデメリット
環境共生住宅は、省エネや健康などのメリットをもたらしてくれることを紹介してきました。
そんな環境共生住宅のデメリットがあるとすれば、通常の家よりもコストが高額になるという点です。
環境に配慮した材質や、高気密高断熱材などを使用するため、通常の家よりも費用が高くなるというデメリットがあります。
しかし、環境共生住宅はリフォームをしながら長く住み続けることが目的です。
これまでのように古くなったら建て替えるのではなく、良い家を修繕しながら長く住み続けることで、結果としてコストを抑えることにも繋がります。
環境共生住宅の補助金
環境共生住宅は、環境保護を目的として政府が取り決めた政策の一環です。
そのため、省エネルギー住宅を建設した個人や事業者に対し、ある一定の条件を満たすことで国から補助金を受けることができます。
地域型住宅グリーン化事業
新築された木造住宅が、一定の条件を満たしている場合、1戸につき最大で110万円が補助される制度です。
この制度を利用するには、長期間住み続けられるように施工された「長期優良住宅」や、二酸化炭素の排出を抑えた「認定低炭素住宅」、エネルギー消費性能向上の認定を受けた「性能向上計画認定住宅」、エネルギーを極力消費しないように作られた「エネルギー消費ゼロ」という要件を満たす必要があります。
ちなみに、この制度は期限が設けられているため、利用する前に確認しておきましょう。
ゼロエネルギーの補助金
消費エネルギー量を極力ゼロに抑えた住宅を「ゼロエネルギー住宅(ZEH住宅)」は、国から補助金を受けることができます。
ZEH(ゼッチ)住宅と認定されるには、以下の条件を満たしている必要があります。
・出力が10kw未満の太陽光発電があること
・断熱性能があること
・気密性住宅であること
上記の条件を満たしたZEH住宅は、新築や改修する際に70万~115万円の補助金を受け取ることが可能です。
この補助金には、「支援事業」「実証事業」「先進的再エネ熱等導入支援事業」などの種類があり、それぞれ要件となる住宅性能基準が異なり、受けられる補助金の額も異なります。
環境共生地域づくり補助金
環境共生地域づくり補助金は事業者が受けられる補助金です。
この補助金は、事業者がエコハウスを建築する場合に、建築経費の中から一定額を補助するという制度です。
環境共生地域づくり補助金の目的は、ハウスメーカーや工務店がエコハウスを建築することで一般の人にも環境に配慮した家造りを体感してもらうこと、周辺地域の環境保護につなげることが目的とされています。
まとめ
環境共生住宅は、自然環境を保護しながらも、住む人に快適な生活を与える地球環境にやさしい家です。
長期間住み続けられる家は、初期の建築費用は割高になったとしても、長い目で見ればコストを抑えられる家となるでしょう。