天然素材の床材リノリウムの特徴
床材に使用される「リノリウム」は、安全性と機能性から注目されている素材です。
病院や舞台のステージなどの床に使われていることで馴染みのある素材ですが、環境にやさしい素材として一般の家庭でも使用されるようになってきました。
この記事では、リノリウムの特徴やメリット・デメリットを解説します。
リノリウムとは
リノリウムは、主原料となる亜麻仁油に石灰岩、木粉、松脂、コルク粉、天然色素などを混ぜて、麻布に塗り付けて乾燥させたものです。
化学物質のようなイメージの名前からは想像つきませんが、材料や製法を見ればわかる通り、実は天然素材です。
主に床材として使われますが、家具の仕上げ材にも活用されています。
1860年代のイギリスで発明され、日本では1920年に東洋リノリユーム株式会社(現在の東リ株式会社)が、国産初のリノリウム「リノリユーム」を完成させています。
自然素材で構成されているためコストを抑えることが難しく、生産工程が煩雑で手間がかかるため、その他の便利な床材が登場するにつれて次第に敬遠されていきました。
しかし、環境にやさしい製品が好まれる昨今、自然素材のみで作られたリノリウムが再注目され始めています。
リノリウムが使われる場所
リノリウムは、人が集まる場所や安全性、衛生性に配慮したい場所におすすめの素材です。
病院や学校、介護施設、飲食する場所などに使われています。
また、火災時に燃えにくく、滑り止め効果がある特徴から、安全性を確保したい場所に適しています。
例えば、火を使うキッチンでは、他の場所と比べて火災が起きるリスクが高いですが、燃えにくいリノリウムなら、火事になる危険性が軽減されます。
他にも、子供部屋やバレエのスタジオ等体を動かす場所は、転んだり滑ったりしてケガをする危険がありますが、滑りにくいリノリウムを使うことで事故の予防をすることができます。
リノリウムのメリット
環境にも人間にもやさしい天然素材として人気が高まっているリノリウム。
ここでは具体的なメリットをご紹介します。
有害物質が発生しない
天然素材で作られたリノリウムは、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの化学物質を放出しません。
また、廃棄するときも土に還るため、環境を汚染することはありません。
抗菌作用がある
リノリウムの主原料である亜麻仁油には抗菌作用があります。
黄色ブドウ球菌や大腸菌O157、A形インフルエンザやノロウイルスに対する抗菌、抗ウイルス作用が期待できます。
傷がつきにくい
多くの人が行き来する公共施設やバレエのスタジオでも使用されるように、リノリウムは傷や摩耗にも強いことが特徴です。
家具の重みや移動によっての傷が付きにくく、床を美しく保ちます。
燃えにくい
リノリウムは熱による膨張率が少なく、日光やライトの照射などによって変化がしにくいです。
また、発火温度も高いため、火災時にも燃えにくい特性があります。
リノリウムのデメリット
リノリウムのデメリットを紹介します。
価格が高い
天然素材で作られたリノリウムは、見た目が似ているポリ塩化ビニルなどの建材と比べると、価格はやや割高になります。
また、天然素材であるため製造に時間がかかり、扱える施工業者が少ないこともデメリットです。
匂いが気になる場合がある
リノリウムの主原料である亜麻仁油には独特な匂いがあるため、この匂いが苦手という方もいるようです。
ただし、この匂いには健康上の問題や影響はなく、時間経過と共に消えていきます。
アルカリ性や紫外線に弱い
木粉やコルクなどの天然素材で作られているため、アルカリ性に弱く、使用する洗剤やワックスには注意が必要です。
アルカリ性の洗剤やワックスを使用すると、変質を起こしてしまい、元に戻らなくなってしまいます。
また、紫外線の影響を受けやすく退色することがあるため、日当たりのいい場所に使うのは注意が必要です。
クッションフロアや塩ビタイルとの違い
自然素材でできたリノリウムは、どうしても価格が高くなってしまいます。
そこで似たような見た目の床材として一般住宅で普及したのが、クッションフロアや塩ビタイルです。
クッションフロアや塩ビタイルとリノリウムの違いをみていきましょう。
リノリウムとクッションフロアの違い
クッションフロアは、塩化ビニル樹脂でつくられたクッション性のあるシート状の床材です。
水に強い特徴から、トイレや脱衣所など水回りの床材によく使われています。
見た目はリノリウムに似たものもありますが、リノリウムよりも安価という理由で、コストを抑えてリフォームしたいという需要から定番になりました。
またリノリウムの弱点であるアルカリにも強いため、現在は住宅の床材の主流のひとつとなっています。
デザインは木目調や石調のものだけでなく、花柄のものなど豊富に揃えられています。
また、ペットがいるお家に適したクッションフロアもあります。
滑り止め効果や消臭効果が期待できるため、ペットの安全性や清潔性が保てるでしょう。
クッションフロアは、クッション性がありながら耐久性にも優れているため、爪痕が付きづらいのも嬉しいポイントです。
リノリウムと塩ビタイルの違い
塩ビタイルは、ポリ塩化ビニルでつくられており、表面が硬くて傷に強いのが特徴です。
プリント加工されたリアルな木目柄や石目柄のデザインが豊富で、安価で加工がしやすいことからDIYにも活用されています。
ただタイルを張り合わせていくので、目地が生じてしまうのは避けられません。
目地に汚れが溜まってしまうので定期的な掃除は必要です。
また、素足で触れるとひんやりと感じることや、硬くて傷に強いのは塩ビタイルのメリットでもありますが、足腰への負担が大きいという面ではデメリットでもあります。
リノリウムの床に張り替える費用
環境にも人間にもやさしいリノリウムですが、他の床材と比べるとやや割高なものとなっています。
では、実際にリノリウムの床にリフォームする際、どのくらいの費用が必要になってくるのかご説明します。
リノリウムを使った床のリフォームには2通りの方法があります。
ひとつは、既存の床の上からリノリウムを張る方法です。
この場合の費用は1㎡あたり1,500〜3,000円と比較的安価に行えます。
もうひとつは、既存の床を剥がしてリノリウムを張り替える方法です。
この場合は、床板を剥がすなどの施工が必要になりますので、おおよその費用は1㎡あたり4,000〜6,000円となります。
また、リフォームする際に注意しなくてはならないのが下地の状態です。
傷んでいる下地の上から施工すると、施工後に変形などが起こる可能性があります。
このようなことにならないために、施工前には業者による下地のチェックと、必要であれば補修工事を行いましょう。
下地の補修工事の費用は、軽微なものであればおおよそ50,000円以下で行うことができますが、大掛かりなものになると30〜50万円ほどの費用がかかる場合もあります。
リフォームに際しては、信用のおける業者を選び、事前にしっかりと調査を行ってもらい、見積もりを出してもらうようにしましょう。
リノリウムの床にするときの注意点
リノリウムを床材に採用する際、気をつけなければいけないポイントをお伝えします。
リノリウムはアルカリ性に弱いため、掃除用洗剤を使用する場合は中性タイプの洗剤を薄めて、すぐに拭き取るようにしてください。
お手入れ方法は、雑巾で乾拭きするだけで大丈夫です。
表面がすり減ってきた場合は、ワックスをかけることで耐水性を補うことができますが、この際に使用するワックスは必ず中性タイプを使うようにしてください。
また、紫外線に弱く変色することがあるため、直射日光の当たる場所にリノリウムを施工する場合は紫外線対策が必要です。
床材の張り分けやUVカット効果のある窓ガラス、フィルムを使用するなどの対策をおこないましょう。
まとめ
リノリウムは環境にも人間にもやさしい天然素材です。
他の床材と比べると、コストはやや高くなりますが、安全性や機能性で利点があります。
ゆいまーるClubでは、天然素材にこだわった住まいづくりを行っています。
リノリウムを使った施工事例
【真田山モデルルーム】
洗面脱衣室・トイレの床材として採用